トップマネージメントメッセージ

更新日: 2011年7月8日

画像:代表取締役 社長執行役員 貝沼 由久

このたびの東日本大震災により被災されました方々に、あらためて心よりお見舞いを申し上げますとともに、復興に向けて日々力を尽くしておられる皆さまへ敬意を表します。当社の製造拠点は震災による直接的な被害は受けておりませんが、多くのお取引先様が被災され、当社事業へも間接的な影響が様々な面であらわれてきております。現在も完全復旧に向けて不断の努力を続けておられるお取引先様と協力しながら、1日も早く震災以前の経済活動が行えるよう、製品の供給体制を整え、部品メーカーとしての当社の責務を果たしてまいりたいと考えております。
当社は、ささやかではありますが被災者の皆様にあてた義援金を拠出させていただくと共に、国内外の従業員各位へ協力を呼びかけて募金活動を行い、多数の賛同者を得ることができました。今後も企業として出来る限りの支援活動を行ってまいりたいと考えております。しかし、日本企業である当社が最優先で行うべきことは、本業において震災以前と変わらぬ活発な事業を展開することであり、健全な事業運営による雇用の継続、納税など、経済活動を通じた社会への利益還元をおこなうことが、当社にできる復興に向けた最大の貢献であると考え、更なる業績向上に向けて努力してまいります。

2011年3月期の連結業績

2011年3月期は、世界的に見ても不況期からの緩やかな回復が進展したと言える状況にあり、特にそのけん引役となった中国経済は積極的な財政出動により内需を中心に拡大し、その他のアジア諸国も中国向けの輸出を中心に堅調に推移しました。一方、円高ドル安ユーロ安やエネルギー・資源価格の高騰というマイナス要因も存在し、さらに3月11日に発生した東日本大震災の影響は日本だけでなく全世界に及び、景況感が大きく悪化するとともに先行きの予測が困難な状況になっております。
当社グループは、このような経営環境の下、販売拡大に努めるとともに、収益力の向上を実現するために徹底したコスト削減や生産性向上に取り組んでまいりました。この結果、売上高は269,139百万円と前期比40,693百万円(17.8%)の増収となりました。営業利益も22,163百万円と前期に比べ10,104百万円(83.8%)の増益となりました。

機械加工品事業

機械加工品事業では、景気回復による販売増加でボールベアリングがほぼフル生産状態となり、既に世界同時不況前をこえる水準に達しています。HDD用ピボットアッセンブリーも今後の需要増加に応える体制を整えており、ロッドエンド・ファスナーも航空機業界の回復を受けて売り上げが増加傾向にあるなど、総じて安定した成長を実現しました。

回転機器事業

回転機器事業では、パナソニック株式会社から移管されたブラシレスモーター事業が売上高の伸びに大きく貢献しました。さらにHDD用スピンドルモーターやファンモーターの伸びも改善に寄与しました。損益面では赤字幅は大きく縮小したものの解消には至らず、2012年3月期の黒字化を期しております。

電子機器事業

電子機器事業では、ゲーム機器向け製品の終息により計測機器が売上を減らしたものの、LEDバックライトが大きく伸びており、今後も成長が期待されます。

その他の事業

その他の事業では、若干の売上増加となりました。損益面ではキーボード事業の黒字化と特機事業の損益改善により全体として黒字に転換いたしました。

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2011年3月期の取り組み

当社は「1株当たり利益の最大化を図り、企業価値の向上を目指す」「ミネベア100周年のための基礎固めを行う」という2つの大目標の下に、タテとヨコの総合力の強化、技術の複合化、生産能力の強化に取り組んでおります。

機械加工品事業

まず、機械加工品事業では、HDDの市場拡大に対応するため既に設備増強を進めているピボットアッセンブリーのさらなる増産準備として、タイ・ロッブリ工場内への新工場建設とここに供給するボールベアリングの新工場をタイ・バンパイン工場内に、さらにベアリング用鋼球の新工場をロッブリ工場内にそれぞれ建設する計画を昨年発表いたしました。しかしながら、昨今の経済状況の中で、HDD市場の成長率が鈍化してきていることから、ピボットアッセンブリーについては、当面の需要に既存工場の設備増強で対応することとし、新工場の建設計画については中止を決断しました。
また、ボールベアリングについては、中国の国内需要の拡大に対応し従来よりも低い価格での市場開拓を可能とする汎用ボールベアリング用の新工場を同国にも建設する予定でしたが、バンパイン工場内に建設中のボールベアリング新工場の前述のピボットアッセンブリー工場建設中止によって余剰となる生産能力を中国国内市場へ振り向けることが可能となるため、同国での新工場建設は中止いたしました。なお、2012年1月からアセアン-中国自由貿易協定(ACFTA)により中国におけるタイ製ボールベアリングへの関税率が0%となることも、この決断を後押しした要因の一つとなっています。

回転機器事業

一方、回転機器分野ではカンボジアに新工場を建設することを決定いたしました。既に2011年4月より賃貸工場でのマイクロアクチュエーターとブラシ付DCモーターの組み立てを開始しており、12月稼働に向けて自社工場の建設も始まっております。同工場は当社としては実に17年ぶりの新しい国での大規模生産拠点新設となります。ここでは、従来の一貫生産方式ではなく、タイ工場で生産した部品を組み立てるサテライト工場的な役割を担います。今後は、このような複数のアジア生産拠点のネットワークによるものづくりが、当社のスタイルの一つとなってまいります。この背景には、既に経済発展をとげたタイや中国では生産要員の確保が難しくなっているという状況があり、今後も必要な条件の充足のため、スピード感のある経営判断と実践が不可欠と考えております。
このほか、2010年4月にパナソニック株式会社より当社へ移管されたブラシレスモーター事業が、当初の見込みを上回る実績を上げたことも回転機器事業の売上と利益に大きく貢献しました。

電子機器事業

電子機器分野では、拡大するLEDバックライト市場への対応のため、中国・蘇州にタイに次ぐ2番目のLEDバックライト工場を設置しました。既に2011年4月より生産を開始しており、早急に増産を実施し、供給を拡大いたします。

また、製造支援分野でM&Aを実施し、樹脂歯車の精密金型メーカーである第一精密産業株式会社を傘下に収めました。同社は300社に上るお客様とのお取引の中で培ってきた様々なノウハウを有しており、その経験が当社の金型部門の強化につながると共に、そこから生み出される機構部品は回転機器製品の付加価値向上に大きな力となります。
一方、株価重視の経営の方針については、昨年度に導入をご報告致しました従業員持株インセンティブ・プラン「E-Ship®」がその後も加入者を順調に伸ばしており、従業員各位に十分に浸透してきた証左と考えております。

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2012年3月期に向けて

東日本大震災の影響によるサプライチェーンの混乱は、各種産業の生産に大きな支障を及ぼしておりますが、関係者の不断の努力により回復に向かいつつあります。しかし、震災前のレベルにまで復旧するには今しばらくの時間を要するものと思われます。当社についても、2012年3月期上期は売上高、利益共に伸び悩むと予想いたしますが、多くのお取引先様が通期ではその遅れを取り戻すべく積極的な生産計画を立てておられますので、当社も通期では2011年3月期とほぼ同等の業績を確保できるものと予想いたしております。ただし、東日本大震災の影響に加え、歴史的水準に達した円高やエネルギー・資源価格の高騰、アジアでの人件費高騰、世界的な金利上昇傾向、中東の政治的混乱、ユーロ圏での財政危機など厳しい経営環境の下で迎えた中期事業計画の第2年度は、目標売上高3,200億円の達成が非常に困難な状況にあり、この観点から言えば2012年3月期は踊り場的状況と言えます。従って、当社は中期事業計画の目標を1年先送りし、2012年3月期を目標達成のための準備期間として運営してまいりたいと考えております。

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事業分野別経営方針

機械加工品事業

機械加工品事業においては、ピボットアッセンブリーの需要は中期事業計画で想定した見込みを下回るものの、ボールベアリングの需要は依然として堅調であることから生産規模を維持いたします。特に日本国内については家電製品をはじめとする需要に迅速に対応し、スムースな製品供給で復興を支援する為、在庫の積み増しも必要と考えております。また、バンパインの新工場稼働により中国向け汎用ベアリング市場への展開を本格化してまいります。新工場は、従来よりも更に進んだ省資源設計の採用と間接部門を既存製造部門と共有することにより、一歩進んだ低コスト体制を構築いたします。航空機産業を主要市場とするロッドエンド・ファスナーについては、長期的な燃料高騰を背景とした燃料効率の良い機体への需要は衰えていないため、航空機市場の拡大に対応した増産体制を構築してまいります。

回転機器事業

回転機器事業については2011年3月期に、タイで生産しているマイクロアクチュエーター、ステッピングモーター、HDD用スピンドルモーターなどの生産ラインを工場間で再配置し、体制を再編いたしました。これに加え、カンボジア工場の稼働により生産体制の更なる充実が見込まれます。今後は、こうした体制強化を大きな力として拡販を進めてまいります。カンボジアでは12月に賃貸工場から自社工場への生産移管を予定しており、その能力向上に応じて、今後様々なモーターの生産を検討してまいります。今回の震災の教訓として地域リスク低減の為の生産拠点分散が必要と感じており、単一地域での生産が多いモーターについては、この点でもカンボジア新工場の活用が必須と考えております。HDD用スピンドルモーターについては、当社のリソースの中から相当なものを注ぎ込み、歩留まりの向上など改善ができております。震災によるサプライチェーンの混乱で一時的に需要が減少してはおりますが、その回復と共に更なる生産効率の改善を実施し黒字化を目指します。

電子機器事業

電子機器事業についてはLEDバックライトの売上が急上昇しております。これはスマートフォンの普及によって高度な光学設計と生産技術を要するバックライトが必要とされる中で、こうした需要に対応可能な当社への引き合いが増加しているためです。2011年4月の蘇州工場稼働開始によって生産能力の大幅引き上げが実現しましたので、今後も積極的に拡販を進めてまいります。COOL LEAFについては量産化が遅れておりましたが、2011年5月に販売を開始いたしました。今後、様々な分野への展開を進めてまいります。COOL LEAF、HMSMを含めた複合製品のビジネス規模拡大を推進するため、2011年4月1日付で回路事業部とHMSM事業部、EMS推進室を統合して複合製品事業部を創設しました。さらに、このたび当社定款の目的に医療機器の製造を追加することと致しました。これにより事業内容の充実を図ります。

その他の事業

その他の事業においては、ハイパワーマイクロスピーカーの薄型テレビ市場での拡販や特機事業部の民間市場向け製品の拡販など、ターゲットを絞った市場開拓を進めてまいります。

販売体制については新興国での拡販に向け、ブラジル、中国、インドでの体制を充実させて参ります。ブラジルは今後の世界経済の牽引役の一つとして期待されており、成長する同国内市場を着実に開拓してまいります。中国においては、経済の発展に伴う同国内消費の拡大に対応して、従来の輸出ビジネス中心の営業活動から国内市場に目を向けた販売にシフトしてまいります。インドにおいても拡大する同国内市場に向け、体制を整えてまいります。

画像:新興国向け販売体制の強化

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情熱は力、情熱はスピード、情熱は未来

東日本大震災は、今後のものづくりのあり方を変えてしまう可能性のある衝撃的な出来事でした。ものづくりにおける私たちの役割とは何かを考えたとき、必要なものを必要な人々にお届けするためのサプライチェーンの中で自分たちの基本的な役割をしっかりと認識し、絶えることなくその役割を果たすことがもっとも大事なことであろうと考えます。ものづくりを担う私たち一人ひとりが情熱をもってこの役割に取り組むことが、ひいては当社の価値向上や成長につながってゆくものと確信し、従業員と共に身を引き締めて経営を行ってまいります。

株主の皆様には、ミネベアグループに対して引き続きご理解とご支援を賜りますようお願いを申し上げます。

2011年7月8日
代表取締役  社長執行役員
画像:代表取締役 社長執行役員 貝沼 由久

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